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人物写真 Case.2
わたしはこうした!
タブーに挑戦し、経営の舵取りを担う

成熟市場である固形石鹸事業の収益性を改善し、成長市場のボディーウォッシュで勝つ。私はまず経費節減プロジェクトを立ち上げました。バリューチェーンの中の無駄を削減し、それを再投資するためです。しかし原材料の高騰を打ち消し、さらに積極的に投資するには経費削減だけでは不十分で、固形石鹸事業のよりいっそうの収益性の改善が必要でした。
私は初心に帰り、消費者の視点でさまざまな商品の価格を観察することからはじめました。中国で生活し始めてから半年あまりが経とうとしていたところでしたが、いろいろな生活雑貨で頻繁に値上げが行われていることにふと気づいたのです。そこで過去のデータを分析してみたところ、競合は過去にも石鹸の値上げを成功させていることがわかりました。競合と自社の価格戦略および実行にどういった差異があるのでしょうか?
価格戦略の見直しは一種のタブーとなっており、慎重な取り組みが必要でした。まず部下とともに仮説を立て、過去の膨大なデータを分析することで失敗の原因を掘りさげました。そこで、問題は消費者への提供価値ではなく、流通チャネル戦略とその実行方法だったことを突き止めたのです。さらにさまざまなシナリオ分析を行い、どのようにリスクを分散しながら値上げを実現することが可能なのかといった大きな絵を描きました。この結果により、事業部長を説得し、様々な部署を巻き込んだプロジェクトチームの立ち上げが決まったのです。その後チームとともに仮説をさらに深く掘り下げ、詳細な戦略立案と実行への落とし込みを行いました。
結果はどうなったでしょうか。価格政策の変更は固形石鹸事業の収益を大幅に改善させ、そこから生み出された余剰キャッシュを集中投資することでボディウォッシュのシェアと売上も上昇。事業部全体の売上と利益のV字回復をもたらす結果となりました。
Point!
ビジネスのおかれている外部環境、内部環境などさまざまな要因を包括的な視点から分析し、事業部全体としての最適化されたポートフォリオ戦略を構築する。また、仮説とデータ分析をもとに、タブーに挑戦する。これがファイナンスの仕事の醍醐味のひとつです。